赤山禅院が創建されるよりも以前、この地には、南淵年名の山荘がありました。
南淵年名(みなぶちのとしな 808~877年)は、平安時代初期の公卿で、学徳が高く、文徳天皇・清和天皇の時代に活躍し、大納言も務めた人物です。
晩年、この地に閑居し、小野山荘と名付けました。
貞観19(877)年、南淵年名はこの小野山荘に、時の賢人を招いて、尚歯会(しょうしえ)を催します。
尚歯の尚はとうとぶ、歯は年歯(年齢)、つまり尚歯とは敬老の意味です。尚歯会は、高年者が集まり詩歌管弦を催して遊楽することで、唐の詩人・白居易(白楽天)が始めたと言われ、敬老会の祖とされます。
貞観19年3月18日に招かれたのは、大江音人、藤原冬嗣、菅原是善、文室有真、菅原秋緒、大中臣是直といった当時の文人・世客で、老七賢たちは、池に船を浮かべて詩歌管弦の宴を催しました。